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  • 執筆者の写真: keromochi
    keromochi
  • 2022年1月24日
  • 読了時間: 8分

※今回オオムカデの種名として出すものは購入時についていたものを使用します。


本文が少し長くなったので一言でまとめます。

「死んだムカデを冷凍庫で放置したら切開不要の乾燥標本ができたよ」です。


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みなさん、こんにちは。

一年で最も寒い時期となりましたがいかがお過ごしでしょうか。


管理人は割と寒さに強い方なのでなんなら年中10℃以下であってくれてもいいかなと思ってます。

でもそれだと作物は育たないし海流はおかしなことになりそうだしヘビが出ないのは悲しいので季節の流れというのはやはり大事なんだなあと思う今日この頃です。ただし花粉、おまえは許さん。


さて、表題の通り今回はオオムカデの乾燥標本の作製方法について書いていきます。

とはいっても最初からこれを目的に作ろうと思って作ったわけでもなくなんかできてたという偶然の産物でもあるため、乾燥期間も適当ですしどんな種類でもうまくいく保障はありませんので悪しからず。


このブログを読んでる方のうち何割がご存じか、以前管理人はムカデを人並みに飼育していました(人並みとは?)

最後に飼ってたのが死んでもう4~5年ほど経つと思います。

店で購入したものもいましたし採集してきたトビズムカデやアオズムカデなどもいました。




カッコいいですね。今でも大きいムカデは好きです。


ガラパゴスオオムカデ(として売っていたムカデ)も飼育していました。

ガラパゴスオオムカデといえば当時はマニア垂涎の種。

ペルビアンと並んで二大南米クソでかカッコいいオオムカデという感じでした。

今もこの南米のオオムカデたちは特に人気の種なのではないでしょうか。


昆虫ゼリーを食べる様子。

普段はコオロギ、餌用ゴキブリ、昆虫ゼリーなどを与えていました。なんでもよく食べよく水を飲む良いやつです。


この個体は2度産卵を行いました。

仔をとることは叶いませんでしたが、2016年当時は産卵しただけでまあまあ盛り上がっていました。

今だったらムカデに詳しい知り合いもいますし、幼体をとるまでいけたのかなあとか思います。

みんながんばってくれ!!



そして、お察しの通り本記事の最初に貼ってある画像がこの個体のその後の姿です。

死後数年の時を経て乾燥標本になりました。

乾燥してるので多少縮んでるかもしれませんが頭銅長19cmくらいでしょうか。

曳航肢の存在感があるので大きく見えますね。

曳航肢から触覚の先までは27cmほどあります。


ムカデ標本といえば液浸標本が主流です。

まず死んだ個体はできるだけ細部を観察し、計測、記録などをとっておきましょう!(自戒)

特にムカデは生きているうちに手の中でゴロゴロ転がすことなどなかなかできないのである意味死んでからの方が形態の観察はできるかもしれません。


その次に発砲スチロールなどを切り出して、その上にそっと載せて虫ピンで展肢していきます。

固定できたら発泡スチロールをはずして大き目の瓶にたっぷりの無水エタノールと共にジャボっとします。

場合によってはプラ板などに固定して入れてもいいと思いますし、展肢を省く方法もあります。


というのが液浸標本の主な作成方法。


で、乾燥標本ですがざっと調べてみるとこうしたムカデをはじめとした大型の虫(広義)は内臓を引き抜く(そしてそこに綿をつめる)ことが多いですね。

理由は腐敗の可能性があるためです。

管理人自身も以前イエロージャイアントヒヨケムシの乾燥標本を作るために腹を裂いて内臓をピンセットで取り出し、綿をつめて乾燥させたことがありました。

その後は木箱に収め何年も経過していますが劣化等はしていないようです。


ムカデから内臓を取り出すのはなかなか面倒そうです(いくつか記事を探してみると腹面を縦に裂く方法や胴体を真ん中で切る方法などがでてきました)。

それ以前にガラパゴスは死亡後に液浸にしようと思っていたのですが丁度良い瓶がないという問題がありました。まして展肢していると高さと幅の丁度いいものがない。瓶というのは大抵、幅はあっても口が狭いので入らないんですね。

そりゃ本当は展肢して固まったらすぐエタノールに漬けたかったですが、肝心の器がないというわけです。

これはしょうがない!ヨシ!そのまま冷凍庫へGO!


冷凍庫へGO!はもはや常套句ですね...。



数年後。

昨年の4月に冷凍庫が壊れました。

これは冷凍庫からの「そろそろ中のムカデなんとかしいや!」というメッセージだったのかもしれません。

冷凍餌は緊急避難させましたが、ムカデには蹴りをつけるとき。

そう思った管理人はそのままジップロックに入れて部屋に放置しました(!)

これが真夏だったら方法を変えたかもしれませんが...内臓も腐敗する余地がないくらいカサカサなので乾燥剤を入れておけば大丈夫かと思います。


もちろん本当は冷凍庫に入れて一年以内には外に出して様子を見るつもりでいました。

そういうこともあります、よね。


数年間冷凍庫に放置されたガラパゴスオオムカデは手で持って細部を観察できるくらいしっかり乾燥し固まっていました。やったぜ。


時は江戸時代初期、ところてんを屋外に捨てたところ凍結・乾燥し、それを食べてみると美味しく保存も効き、精進料理にも使えそうだということから現在の寒天の元になったという説があります(諸説あり)。

この記事を書いていてそんなことを思い出してしまいました。

寒空の下に投げ出されたところてんも、管理人のガラパゴスオオムカデもなんだか同じような運命を辿っているような気がします。

偶然の産物はとことん利用してやろう、という話です。



この乾燥標本は脚の先の小さな突起や曳航肢の棘、顎なども直接手に取って詳細に観察することができます。ルーペを使えばさらに良く見えますし、工夫次第では顕微鏡を用いた観察もできるでしょう。

これが液浸の場合だとなかなか気軽にはできません。

持った感じもカッチリしているので丁重に扱えば壊れなさそうです。


ただ一つ、触覚先端側の毛の生えている部分だけはしおしおに干からびてしまいました。

やはり外皮の薄い部分は乾燥が表面にまで影響を及ぼすようです。そのためこの方法は大型の種、大型の個体向きの方法であると言えるでしょう。

また触覚は種同定にも用いる部位なので、どうしても本体を乾燥標本にしたい場合は写真やスケッチでしっかり記録を残すか、あまりいい方法ではありませんが片方の触覚のみは液浸にするという方法も提案できます。

もしくは本体につけたまま触覚のみ樹脂で固めてしまうという方法もあります。手で持った際の破損の可能性も減らすことができます。ただし液浸のように再度そのままの状態にして調べることができなくなるためこの方法は慎重に行ってください。


個人で使う場合は自由なのでお好みの保存方法をとりましょう。

学術的なものとしてはこの方法は使えないかもしれませんが、詳細の観察のしやすさとしては最高だと思います。観賞用としてもいいですね。

普通に展肢するのみでなくお好みで立体的なポーズをとらせることもできます。



本手法の一番の利点としては、保存状態さえ良ければ半永久的に手に持って観察が可能というところです。

次点として大型の虫の乾燥標本作成に必須となる内臓除去の作業を省くことができるところ、ムカデを入れることができる冷凍庫さえあれば誰でも簡単に作成が可能というところでしょうか。


実際に作成に挑戦する場合は管理人のように冷凍庫で数年放置する必要はないと思いますが、念のため1~数か月ほどは冷凍が必要となるでしょう。

展肢した状態で板に乗せるか薄めの箱などに入れ、それをそのまま冷凍庫に入れます。乾燥が目的のため密閉容器などに入れる必要はありませんが、破損の可能性があるので穴の開いた蓋・メッシュのある蓋などがあるとよさそうです。


また取り出すタイミングは秋冬などの比較的乾燥し、気温の低い季節にしましょう。

内臓が完全に乾燥していても標本の大敵となる虫が寄ってくる可能性があるためです。


取り出したら冷凍時に入れていた箱や板ごとジップロックに入れ、乾燥剤や防虫剤と一緒に冷暗所に置き様子を見ます。

最終的には乾燥標本のためこの状態で最終形にしてもいいと思いますし、ある程度時間がたって大丈夫そうなら木や紙製の標本箱やドイツ箱などに収めてもいいと思います。

その他保管の方法は一般的な昆虫標本に準じますので調べてみてください。


管理人は冷凍庫から取り出して、常温下でジップロックに入れてからもうすぐ一年ほど経ちますが全く問題はなさそうです。古い燻製みたいな匂いがうっすらとします。

とはいえ、部屋の環境は人の数だけあると思いますので冷凍庫から取り出した後の湿気や虫には特に注意してくださいね。


オオムカデ以外でもある程度外皮に厚みのある虫であればこの方法がとれそうです。

甲殻類は乾燥してもそれなりに臭そうなので内臓を抜かない限りは厳しいかもしれません。

蜘蛛以外の大型鋏角類には使えるかもしれませんが、ヒヨケムシは恐らく腹部がしおれると思います。


またガラパゴスオオムカデの場合は影響はありませんでしたが冷凍・乾燥により退色などが起こる可能性もありますのでご注意を。



以上、オオムカデの切開なし乾燥標本の作製方法についてでした。

本手法は真似していただいても構いませんが失敗しても当方は一切の責任を負いません。自己責任でお願いいたします。


それでは、また。





あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


ということで今回は、ルリゴキブリのケースに突っ込んだヤエヤマサソリとその後の経過観察というテーマで記事を書いていきます。



ヤエヤマサソリは累代させながら7年くらい飼育してます。

本種は単為生殖をするため上手く飼えていればある日子を背負う姿を見ることができます。殖やすのも簡単なのでペットという意味でも割と人気な種ですね。

サソリといえば毒針で刺されるというイメージがあるかもしれませんが、最大でも3cm程度ですので人を刺したりとか何か影響を及ぼすようなことはほぼありません。


これまで飼育している中でも子が殖えたら親と放し餌を与えてきましたが、これが正直に言うとなかなか面倒な作業です(そんなことない!と思った人は相当にマメな人だと思います)。

管理人自身もこれまで色々な方法を試してきました。

ホソワラジムシを大量に飼っていたのでその中から小さいのを選んで吸虫管で吸って与えたりとか、

小さなコオロギをつぶして与えたりとか...。

しかし魚の餌やり以上に面倒なことはできない人間なのでこうしたことは長く続きませんでした。

というかこの方法だとどうしてもうまく育つサソリが少なくなってしまうのが実情でした。


餌虫を人の手で与える場合は給餌を頻繁に行わなければなりませんし、仕事の都合で出張が続きそもそも家に帰れず普通に無理でした。

これらの方法で産まれた子をたくさん親サイズまで成長させられている人は本当に虫に時間を割けていて素晴らしいと思いますしマジで几帳面な人なんだろうなと思います。


管理人は最初の1~2年で採集してきた個体からなんだかんだでこれまで累代させながらもたせてきていますが、それでも次の子を産むまでに育てられるのはほんの一握り。

まあ小さな生き物ではあるので、成長途中で死んでしまうのはある程度仕方がないことではありますが、それでも自分で育てている個体が死んでしまうのはやっぱり悲しい。

まして自分の仕事の都合とかで餌やりを頻繁にできないのは悔しい。



そんな時目についたのが棚にあったルリゴキブリの飼育ケースでした。


ルリゴキブリの雄。きれい。

確か5、6年飼育しています。


2020年と21年に新種が記載され、大分有名になった感もありますが飼育している種類はいわゆる無印のルリゴキブリです。赤やオレンジの帯がありません。本種は八重山諸島に生息しているのですが、つまりヤエヤマサソリと分布域が被っているという訳です。



管理人の頭にふとこんなことが浮かびました。

「ルリゴキブリを餌にしてもらえばいいのでは???」



虫を飼育する上で湿度とか材の湿り気なども注意する必要がありますが、双方ともに森の中の似たような感じのところにいる気がするという点と、ルリゴキブリの幼虫はちょうどヤエヤマサソリの子でも硬すぎず小さいため捕食しやすいのではないかということで思い切って親になるサイズのヤエヤマサソリ2匹をルリゴキブリのケースに突っ込みました。えいやっ!


とやったのが確か2021年の最初くらいだったのか?(曖昧)

2021年の7月にこの親2匹がほぼ同時に子を産みました。


おお~。たっぷり子を載せています。

パッと見20匹くらい。もう一匹の方もこれより若干少なかったですがしっかりした子を産んでいました。


ルリゴキブリのケースに入れてからは親サソリには一切人の手で餌を与えるということはせずルリゴキブリの捕食を自由にさせています。この時点でルリゴキブリは減りすぎることもなく、サソリが食べたい時に食べられるようなバランスが保てており、その結果これだけの子を産むことができていると考えられます。

親の栄養状態でも子の数やその状態が変わってくると思っているのでまあまあいいんじゃないでしょうか。ひとまず第一関門突破という感じです。


ちなみにルリゴキブリの餌は安いカメの餌のみです。

週1~2で数粒を餌入れに入れてます。この辺はすごい適当。

ルリゴキブリに関してはこれだけで勝手に殖えてるので特に言うことはありません。


ちいさなサソリたち。体の幅に対して長く、色は白っぽい。


親サソリの背に載る子たちは数日経つと自然と親から離れていきます。

さて問題は、この子たちが手放しでルリゴキブリの幼虫を捕食してうまく成長するのか?

サソリが殖えたことによりルリゴキブリが減って餌不足に陥ったりしないか?

そもそもの環境が崩れてサソリ、ルリゴキブリ共に壊滅なんてことにはならないか?

など不安要素はたくさんありましたが、夏、秋、冬と季節は巡っていきました。


そして2022年1月現在の様子がこちら。

8mmくらいに育っています。

ここまで育っているのならまあ問題ないでしょうという感じです。


これくらいになるとふにゃふにゃと頼りなかった状態からしっかりサソリの形に変わりそれっぽいですね。

ルリゴキブリの幼虫を捕まえて食べているところも何度か確認しました。

わずか数mmでも触肢でがっつりと捕らえた後に体をぐにゃりと曲げて毒針を刺しこみます。小さくても毒虫ですね。


彼らは正真正銘ルリゴキブリだけを食べて育ったヤエヤマサソリとなります。もちろん本来は色々な餌を食べて成長しますし飼育としてもその方がよいとは思いますが、カメの餌だけでルリゴキブリとヤエヤマサソリが同時に育つ快適さを手放すことはもうできません。



という訳で結論として今のところ、この方法は上手くいっています。

残りは写真をいくつか紹介していきます。


親の影に隠れる子サソリ。

まだまだこれだけの差があります。ビッグになれよ。


常に色々なサイズのルリゴキブリの幼虫がいるので成長度合いに合わせて捕食しやすいものを捕らえることができるというのもいいポイント。


冬は多少ルリゴキブリの成虫が減少しますが、ケース内には卵鞘が無数にあるので問題はないでしょう。大き目の樹皮等を退かすと上記のように数mmの幼虫が見られます。


子サソリの脱皮殻。

毛の一本一本までキレイに残っています。


拡大すると中眼の部分もくっきり見えますね。

こうした観察ができるのは飼育の醍醐味ではないでしょうか。

全体的に白く半透明ですが、触肢および鋏角の先端は茶色くなっています。


8mmほどの個体。樹皮を何枚か入れているのでその裏に隠れています。


隠れ家を多く入れることによってルリゴキブリにとっても捕食されすぎないというメリットがありそうですが、実際にはルリゴキブリは材に潜るという性質があるためその方がサソリ除けになっていると思われます。成虫も卵鞘もケース内の材を掘ったところから出てきたりします。


ルリゴキブリの雄と雌

冬場は成虫の個体数が減少しますが、初夏頃から一気に増えてきます。たくさん卵産んでほしい。



以上、ルリゴキブリのケースにヤエヤマサソリを突っ込んだらどうなったのか?の報告でした。

ルリゴキブリとヤエヤマサソリを飼ってる人は真似してみてもいいですが、それによる飼育・繁殖の失敗は当方は一切の責任を負いません。自己責任でお試しください。


それでは今年も楽しくいきましょう。

ではまた。

  • 執筆者の写真: keromochi
    keromochi
  • 2020年3月18日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年11月28日


久々のブログ更新です。前回から半年ぶりになってしまいました。

本当は最低でも月1くらいで更新したいのですがなかなか思い通りにいきません。


今回はシママルトビムシ(クモマルトビムシ科 Dicyrtomidae)の脱皮の様子を上げます。

いつものように神奈川の南部で観察をしていたところトビムシを見つけました。


少しするとなんだか様子が変わってきました。

マルトビムシは食事以外のときは歩き回っていることが多いですが、

歩くのをやめてもにょっとしてきました。


うっすら白っぽくなるような感じです。皮が浮いてきたのでしょうか。

その辺りの写真はあまりうまく撮れなかったので省きます。


皮が浮き始めたようになってからおよそ3分後。

脱皮が始まりました。

まずは背中を突き破り頭が上ってきます。


上の写真から1分後。

ほぼ全身が出てきました。

跳躍器だけで全身を支えている状態です。

脚と触覚をピンと前に伸ばしています。

腹管(粘管:collophore)に水滴がついてるのが見えます。


上の写真からおよそ1分。

脚と触覚をだらりと少し曲げました。

まだ跳躍器で立ち上がっています。バランス感覚が凄いです。

脱皮殻の方には眼の部分と触覚が確認できますね。くしゃくしゃですが。

脱皮殻の透き通る様子が非常に美しいです。毛の一本一本までしっかりあります。


上の写真からおよそ2分。

脱皮が終わり、地面に降り立ったところです。

腹部はまだ少ししわしわです。これから張っていくのだと思います。

この後はしばらく同じ場所でじっとしていました。


ほんの数分の間に脱皮を終わらせてしまいました。

天敵も多いと思われるのでさすがに素早いです。


偶然脱皮に立ち会えたので結構慌てて撮影してました。

今度はもっと落ち着いて作業したところです。

狙って撮れないのでなかなか難しいですが...。

誰か動画に収めてくれないかなー。


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