あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
ということで今回は、ルリゴキブリのケースに突っ込んだヤエヤマサソリとその後の経過観察というテーマで記事を書いていきます。
ヤエヤマサソリは累代させながら7年くらい飼育してます。
本種は単為生殖をするため上手く飼えていればある日子を背負う姿を見ることができます。殖やすのも簡単なのでペットという意味でも割と人気な種ですね。
サソリといえば毒針で刺されるというイメージがあるかもしれませんが、最大でも3cm程度ですので人を刺したりとか何か影響を及ぼすようなことはほぼありません。
これまで飼育している中でも子が殖えたら親と放し餌を与えてきましたが、これが正直に言うとなかなか面倒な作業です(そんなことない!と思った人は相当にマメな人だと思います)。
管理人自身もこれまで色々な方法を試してきました。
ホソワラジムシを大量に飼っていたのでその中から小さいのを選んで吸虫管で吸って与えたりとか、
小さなコオロギをつぶして与えたりとか...。
しかし魚の餌やり以上に面倒なことはできない人間なのでこうしたことは長く続きませんでした。
というかこの方法だとどうしてもうまく育つサソリが少なくなってしまうのが実情でした。
餌虫を人の手で与える場合は給餌を頻繁に行わなければなりませんし、仕事の都合で出張が続きそもそも家に帰れず普通に無理でした。
これらの方法で産まれた子をたくさん親サイズまで成長させられている人は本当に虫に時間を割けていて素晴らしいと思いますしマジで几帳面な人なんだろうなと思います。
管理人は最初の1~2年で採集してきた個体からなんだかんだでこれまで累代させながらもたせてきていますが、それでも次の子を産むまでに育てられるのはほんの一握り。
まあ小さな生き物ではあるので、成長途中で死んでしまうのはある程度仕方がないことではありますが、それでも自分で育てている個体が死んでしまうのはやっぱり悲しい。
まして自分の仕事の都合とかで餌やりを頻繁にできないのは悔しい。
そんな時目についたのが棚にあったルリゴキブリの飼育ケースでした。
ルリゴキブリの雄。きれい。
確か5、6年飼育しています。
2020年と21年に新種が記載され、大分有名になった感もありますが飼育している種類はいわゆる無印のルリゴキブリです。赤やオレンジの帯がありません。本種は八重山諸島に生息しているのですが、つまりヤエヤマサソリと分布域が被っているという訳です。
管理人の頭にふとこんなことが浮かびました。
「ルリゴキブリを餌にしてもらえばいいのでは???」
虫を飼育する上で湿度とか材の湿り気なども注意する必要がありますが、双方ともに森の中の似たような感じのところにいる気がするという点と、ルリゴキブリの幼虫はちょうどヤエヤマサソリの子でも硬すぎず小さいため捕食しやすいのではないかということで思い切って親になるサイズのヤエヤマサソリ2匹をルリゴキブリのケースに突っ込みました。えいやっ!
とやったのが確か2021年の最初くらいだったのか?(曖昧)
2021年の7月にこの親2匹がほぼ同時に子を産みました。
おお~。たっぷり子を載せています。
パッと見20匹くらい。もう一匹の方もこれより若干少なかったですがしっかりした子を産んでいました。
ルリゴキブリのケースに入れてからは親サソリには一切人の手で餌を与えるということはせずルリゴキブリの捕食を自由にさせています。この時点でルリゴキブリは減りすぎることもなく、サソリが食べたい時に食べられるようなバランスが保てており、その結果これだけの子を産むことができていると考えられます。
親の栄養状態でも子の数やその状態が変わってくると思っているのでまあまあいいんじゃないでしょうか。ひとまず第一関門突破という感じです。
ちなみにルリゴキブリの餌は安いカメの餌のみです。
週1~2で数粒を餌入れに入れてます。この辺はすごい適当。
ルリゴキブリに関してはこれだけで勝手に殖えてるので特に言うことはありません。
ちいさなサソリたち。体の幅に対して長く、色は白っぽい。
親サソリの背に載る子たちは数日経つと自然と親から離れていきます。
さて問題は、この子たちが手放しでルリゴキブリの幼虫を捕食してうまく成長するのか?
サソリが殖えたことによりルリゴキブリが減って餌不足に陥ったりしないか?
そもそもの環境が崩れてサソリ、ルリゴキブリ共に壊滅なんてことにはならないか?
など不安要素はたくさんありましたが、夏、秋、冬と季節は巡っていきました。
そして2022年1月現在の様子がこちら。
8mmくらいに育っています。
ここまで育っているのならまあ問題ないでしょうという感じです。
これくらいになるとふにゃふにゃと頼りなかった状態からしっかりサソリの形に変わりそれっぽいですね。
ルリゴキブリの幼虫を捕まえて食べているところも何度か確認しました。
わずか数mmでも触肢でがっつりと捕らえた後に体をぐにゃりと曲げて毒針を刺しこみます。小さくても毒虫ですね。
彼らは正真正銘ルリゴキブリだけを食べて育ったヤエヤマサソリとなります。もちろん本来は色々な餌を食べて成長しますし飼育としてもその方がよいとは思いますが、カメの餌だけでルリゴキブリとヤエヤマサソリが同時に育つ快適さを手放すことはもうできません。
という訳で結論として今のところ、この方法は上手くいっています。
残りは写真をいくつか紹介していきます。
親の影に隠れる子サソリ。
まだまだこれだけの差があります。ビッグになれよ。
常に色々なサイズのルリゴキブリの幼虫がいるので成長度合いに合わせて捕食しやすいものを捕らえることができるというのもいいポイント。
冬は多少ルリゴキブリの成虫が減少しますが、ケース内には卵鞘が無数にあるので問題はないでしょう。大き目の樹皮等を退かすと上記のように数mmの幼虫が見られます。
子サソリの脱皮殻。
毛の一本一本までキレイに残っています。
拡大すると中眼の部分もくっきり見えますね。
こうした観察ができるのは飼育の醍醐味ではないでしょうか。
全体的に白く半透明ですが、触肢および鋏角の先端は茶色くなっています。
8mmほどの個体。樹皮を何枚か入れているのでその裏に隠れています。
隠れ家を多く入れることによってルリゴキブリにとっても捕食されすぎないというメリットがありそうですが、実際にはルリゴキブリは材に潜るという性質があるためその方がサソリ除けになっていると思われます。成虫も卵鞘もケース内の材を掘ったところから出てきたりします。
ルリゴキブリの雄と雌
冬場は成虫の個体数が減少しますが、初夏頃から一気に増えてきます。たくさん卵産んでほしい。
以上、ルリゴキブリのケースにヤエヤマサソリを突っ込んだらどうなったのか?の報告でした。
ルリゴキブリとヤエヤマサソリを飼ってる人は真似してみてもいいですが、それによる飼育・繁殖の失敗は当方は一切の責任を負いません。自己責任でお試しください。
それでは今年も楽しくいきましょう。
ではまた。