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執筆者の写真keromochi

少年少女と虫と夏


神奈川県平塚市にて行われた観察会へ行って参りました。

実はあまり観察会というものに行ったことがなかったのですが他の人が持つ知識や感性に触れる機会は良いものだなあと感じました。


まずは夕方から草地や湿地周りをぐるぐる。

向日葵の枯葉に交尾中のグンバイ。

自宅の庭にもたくさんいるのですがついつい出先でも撮ってしまいます。


花粉をたくさん纏っています。おそらく向日葵のもの。


草地を参加者のみなさんと歩きます。

あちらこちらで「あ!おおきなハエだ!」とか「いもむし!かわいい!」とか「ゾウムシ見つけた!」と聞こえてきます。

虫の前では(虫の前でも?)まるで子供のようにはしゃぐのが虫好きたちの収斂です。


ブドウスズメの幼虫が何匹かいました。

むっちり。 しっかり茎を掴む腹脚が可愛いらしい。


頭が縮こまって胴にめり込んでいます。

人を飲んだ後のカオナシを思い出しました。


陽は落ち、ライトトラップが始まります。


あそこにシオカラトンボがいるよーと教えていただいたので撮ってみました。

葉にぶら下がって休んでいます。

日暮れに手持ちで撮影。


コフキコガネの正面顔。

ライトに向かって飛んできたのはいいものの残された時間は少ないようでした。

夏が過ぎ去っていく...。


みんなに人気だったムクゲコノハ。

私は翅よりも横から覗く赤い腹部に見惚れて後ろからの姿を撮るのを失念していました。ちょっと後悔。またどこかで。


ふわふわもふもふ。さながらアカギツネのようです。小さくなってここで眠りたい。

頭の後ろあたりの質感も最高です。


毛の生え方がよく観察できる位置にとまってくれてたので、これはチャンスとたくさん撮ってしまいました。

案外地面に落ちていたり壁についていたりして、こういう角度では撮りにくい気がします。


アオドウガネを撮ってみて最近はこういったザ・昆虫という感じの虫をじっくり観察することが減っていたことに気付きました。


こんなに私好みの質感をしていたなんて知らなかった。

否、知らなかったわけではないのですが観察の優先順位を自分の中でしっかり付けていたことを自覚しました。


あの日見たアオドウガネに、あの日には持っていなかった機材を持って向き合う。


実はこれを撮った瞬間、ひとり息を呑んでしまったんですよね。

これまで一体どれだけの生き物の美を撮り逃してきてしまったんだろう...と。そんな思いが溢れてしまいました。


いることがあまりに普通過ぎて(それはそれでいいのですが)背景と化してしまう。

それは如何に哀しいことか...としみじみ。

改めてこうしたごく身近な昆虫たちをじっくり観察することで新たな発見をすることができました。


そして、これはまた嵌りそうな予感。

個人的な近頃の撮影テーマのひとつに(今回の撮っていた写真のいくつかも然りですが)「生き物のディテールを捉えること」があります。

最近はじめじめと土と仲良くしてばかりでしたが、樹上の昆虫もグッと寄って撮っていけたら面白いかなと思いました。


加えて観察会に参加して感じたことは、同じ虫でも人によって全く違う写真を撮るのが本当に面白い。

その人の見ている世界を少しだけ覗き見できる気がします。

観察会では個人の生き物に対する価値観の共有もできるので実に有意義な時間を過ごすことができました。


時間も気にせずに遊んでいた小学生時代を思い出せるような夏の夜でした。

最高の夜をありがとう。


尾園さん、 Biotop Guildのみなさま、参加者のみなさま、感謝いたします。

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